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202407/03

全国の空き家が過去最多の「900万戸」に 。そのまま放置しておくと、大変なことに……

増え続ける「空き家」が社会問題となる中、今春、総務省は全国の空き家が住宅全体の13.・8%にあたる900万戸となり、過去最多を更新したと発表しました。
空き家をそのまま放置しておくと、倒壊のリスクのほか、治安や景観の悪化を招きかねません。
また、改正空家法によって固定資産税が6倍になるケースもあります。
せっかく親が残してくれた「資産」が大きなトラブル、厄介者になる前に対応を考えておきましょう。

少子高齢化を背景に30年で倍増
空き家問題は深刻化の一途

「空き家900万戸」というショッキングな数値が発表されたのは、総務省が5年に一度行っている「住宅・土地統計調査」(2023年10月1日現在)の調査結果です。
前回調査から51万戸増え、この30年で約2倍となっています。
空き家は日常的に人が利用していない住宅を指し、別荘や賃貸・売却用に空けていたり、転勤や入院で長期不在となっている住宅などもカウントされますが、
特に問題となっているのが、使う目的もないまま長期間そのままにしている「放置空き家」です。
この「放置空き家」だけで385万戸、総住宅数に占める割合は5・9%に達し、福岡県でも4%台にのぼっています。
ではなぜ、空き家はこんなに増えているのでしょう。
最大の原因は少子高齢化、そして核家族化です。日本の人口は2008年をピークに減少し続けていますが、総住宅数は逆に増加傾向を見せています。
かつて見られた「3世代同居」は減少し、子どもたちは成長すると実家を離れて生活し、新たな持ち家を所有することが増えてきたためです。
そうすると、たとえ相続などで身内の家を受け継いだとしても、自分たちの生活の拠点は既に存在していますから、今さら引っ越して実家に住むことはなかなか考えられません。
そもそも、家を受け継ぐべき子どもや孫がいないというケースも増えています。

「片付け問題」に解体費も負担大
売るに売れずに「放置空き家」に

自分が住むことはないのならば、さっさと処分してしまえばいいのに……。
確かにそうですが、簡単にはいきません。
皆さん、「気づかないうちに親の家がゴミ屋敷状態になっていた」とか「片付け始めて丸2年過ぎたけれど、まだ実家にモノがあふれたまま」と途方に暮れている人の話を耳にしたことありませんか? 
そう、空き家問題と同様、社会問題となっているのが「実家の片付け問題」。「実家の片付け問題は空き家対策の第一歩」と言われるほどです。
一方、「生前整理」や「終活」が注目されだしたこともあり、「子どもたちに迷惑をかけたくない」と、見事に家の中を片付けている方もいらっしゃいます。
それでも、一人暮らしの親が亡くなったり、施設に入居したりした後「家族の思い出がいっぱい詰まった住まい」の処分にはなかなか踏み切れないもの。
特に、遠隔地に住んでいる場合は、遺品整理や維持管理のため頻繁に通うことも難しく、「数カ月のうちに処分を」と思いながらも、結果的に何年間も放置されてしまいがちです。
兄は売りたいと思っても、妹は残したいと主張するなど、相続人の中で意見がまとまらないこともあります。
いざ、売却を決意したとしても、老朽化した家屋にはリフォームが必要です。さら地にしようとしても整地、解体費の負担が大きく、「売るに売れない」状態というケースも生じがちです。
また、不動産の所有者は固定資産税や都市計画税を支払わなければいけませんが、住宅用として利用されている土地、つまり住宅が建っている土地には軽減措置が適用されます。
空き家であったとしても住宅が建っていれば固定資産税が減額されるわけですが、さら地はこの制度の対象外ですから減額されません。
「どうせ売れないなら、わざわざ解体費をかけてさら地にするよりも、そのまま放置しておいた方が固定資産税も安く済む」。
そう考える人がいてもおかしくありません。これも、空き家が解消されない一因と見られています。
ただし、空き家の中には、この軽減措置が適用されないものもあり、今春からは、適用外の空き家がより増えることになりました。

「放置空き家」は近所迷惑、トラブルの元
早めの対策で「資産」として有効活用を

少子高齢化が続く限り、空き家の増加は避けられません。
空き家が生じた場合、あるいは将来空き家になることを見越した上で早めに手を打っておくことが求められます。
昨年の空家法改正で、空き家の解体・活用・適切な管理へ向けた措置が強化されました。
何がどう変わったのか、空き家問題を引き起こさないためには何をどうしていけばよいのか、見ていきましょう。

倒壊・不法侵入・放火の恐れ
治安や環境、景観悪化で地価下落も

空き家を放置しておくと、どのようなことが起きるのでしょうか。

▼近隣家屋へ損害を与える
適切な管理がなされずに放置された空き家は、台風で屋根が飛んだり、地震で倒壊したりする危険性が高くなります。
通行人や近隣の家屋に損害を与えると損害賠償責任を問われる可能性もあります。

▼治安の悪化を招く
空き家は、不法侵入や窃盗、放火といった犯罪行為の対象とされやすいもの。
不審者や犯罪者の隠れ家として使われることもあり、地域の治安悪化につながりかねません。

▼衛生環境、景観の悪化を招く
ポイ捨てに抵抗のないマナーの人たちにとって、空き家は格好のゴミ捨て場。
空き缶やタバコ、生ゴミ、粗大ゴミ、産業廃棄物まで捨てられることもあります。
悪臭やねずみ・害虫の発生など衛生環境の悪化、地域の景観低下につながります。

▼地価の低下
空き家は地域にさまざまな悪影響、不利益をもたらしかねません。
空き家が多い地域は住宅地としての魅力が低下すると判断され、地価の低下さえ招く恐れがあります。

空家法改正で税金が増える?
「管理不全空家」は軽減措置対象外に

空き家対策特別措置法(空家法)が2015年に施行され、そのまま放置すれば倒壊などの危険性が高い空き家を「特定空家」に認定されました。
一般の空き家には適用される固定資産税・都市計画税の軽減措置(表面参照)も、この「特定空家」には適用されません。
昨年、この法律が改正され、放置すれば「特定空家」になる恐れのある空き家が「管理不全空家」に認定されることになりました。
「管理不全空家」に認定されると、「特定空家」と同様、固定資産税などの軽減措置が受けられなくなります。
200㎡以下の小規模住宅用地で固定資産税6分の1の減額措置が適用されなくなるため、指定以前の6倍の負担になるわけです。
もちろん、きちんとした管理を続けていけば、このような事態は避けられますが、固定資産税の増額を回避するためにも、放置空き家への早急な対策が求められます。

空き家にしないために
早めの対策、検討を

では、これからどのような対策をしていけばいいのでしょうか。

▼早めの相続対策を
 空き家の発生要因は、相続が半数以上。親の意向が明示されないまま子どもが実家相続すると、売却したり貸家にしたりする決断がつきにくく、
放置されてしまうことが少なくありません。相続した後、誰が住むのか、売るのか貸すのかなど、親が元気なうちに、よく話し合っておくことです。

▼早めの「片付け」
親の他界、もしくは施設入所を機に「実家の片付け」を始めるのでは、長期間。
空き家を維持しなければならなくなりがちです。
実家の片付け=空き家対策と認識して、親が動けるうちから一緒に少しずつ片付けを進めていきましょう。

▼売る?貸す?……さまざまな活用法の検討を
何より大切なのが、空き家を有効活用するにはどんな方法があるかを知り、検討しておくことです。
売るのか貸すのか。
立地によってはリフォームして民泊施設などに再利用したり、マンションやアパート、あるいは駐車場・駐輪場として貸すのもひとつの手です。

空き家を社会資源として活かすために
信頼できる専門家に相談を

活用方法の検討を……とは言っても、たとえば「売却」する場合、いろいろな売却方法の中から何を選べばよいのか。
アパート経営に乗り出すことを検討するなら採算は合うのか。
確かな情報を元にいろいろなケースを想定して、考えなければいけません。
そこはやはり専門家の手を借りたいところです。
気をつけなければいけないのが、空き家の社会問題化とともに増えてきた悪徳業者です。
貴重品を強引に持ち去る悪徳不用品回収業者のほか、巧みな話術でだまして、二束三文で買い取る悪徳空き家買い取りサービス業者もいます。
空き家は視点を変えれば眠れる資源。
うまく活用するならば、地域の活性化にも貢献できるはずです。
不動産の有効活用、まちづくりに詳しい信頼できる専門家に相談し、地域の実情に応じて適切な対策を進めていきましょう。

空き家の事前対策・有効活用も
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